3 地域の特性と予想される災害
(1)地域の特性
三本松地区防災マップや国土地理院地図などから、地区の地形的な特徴や地区で災害が発生しそうな場所などを以下に記載する。
・三本松地区は香川県東端の東かがわ市の海沿いの地区で南にわずかに山地を有するが、東西約 1.1 ㎞、南北約 2.0 ㎞に亘り北はほぼ平坦で、南は穏やかな傾斜の扇状地形の地域であり、東は須賀、清水で白鳥地区に接し、南西は前山、古川等で誉水地区に接する。
・地区の北側は海(播磨灘)に面して砂州が広がり、この一角に三本松港が古くから開港され、港を中心に旧市街地が広がって家屋が多く密集している。海沿いは少し掘れば砂が出て来る地形が広く拡がっている。
・地区の南側には山地があり、山地の北端(概ね国道 11 号)と砂州の南端(概ね JR 高徳線の北側)の間及び JR 三本松駅北側の古川沿いは盛り土地となっており、家屋が古くから分布している。
・三本松地区の山地はわずかであるが、この山地を切土して前山の宅地や三本松高校の敷地などが造成された。また、更に南に広がる花崗岩の山地から土砂が流出して形成された扇状地にも家屋が分布している。
・三本松地区の砂浜は平成元年度から平成 13 年度にかけての港湾改築、海岸埋立て事業ですべて埋め立てられ、埋め立て地には、新しい三本松港が築かれ、(株)タダノの試験場や下水処理場が誘致されている。また、埋め立て地の南端に県道津田白鳥引田線が通り大型車両が通行可能になっている。(大内町史補遺、p396)
・三本松地区に流れる川は古川であるが、すぐ近くの西側に与田川、東側に湊川が流れている。いずれも 2 級河川である。
・湊川、与田川が過去(平成 16 年の台風 23 号)に大雨で氾濫し広い範囲が浸水したため、河川改修工事が実施された。現在、県から湊川氾濫時の洪水浸水区域図が発表され、千年に 1 回発生するような大雨が降った場合は、前山地区を除き三本松地区のほぼ全域で浸水が予想されている。なお、県は、与田川、古川の氾濫推定図を令和 3 年~4年にかけて整備中である。
・前山、大井戸地区には山麓を切り開いて形成された宅地があり、一部に土砂災害(特別)警戒区域に指定された場所がある(三本松前山、大井戸 1 区)。
・南海トラフを震源とする数千年に1回程度発生すると想定される大地震によって発生する津波は、県の予想では海水面から最大 2.5m となっている。この対策として、港湾ほか三本松の海岸線には、国土強靭化計画の一環で、防波堤が築かれ、更に、河川沿岸部にも設置が予定されている。
・ため池は小規模であるが、大地震や豪雨時に堤防が決壊すると下流地域では 0.5m未満及び 0.5~3m未満の浸水が起こることが想定されている。
・南海トラフの最大クラスの地震の場合、三本松全域が震度 6 強以上となり、三本松の一部地域(大町、大井戸、西町 7 区、西町 8 区の一部ほか)では震度 7 が予想されている。
・液状化は前山地区を除きほぼ全域で起こると想定され、海側を中心に液状化による被害は大きいものと想定されている。
(2)想定される災害の程度と要避難地域
地域の自然・災害特性から、想定される災害と避難経路図につき以下に記載する。
1) 大規模地震により次の被害が想定される。
(ア)家屋の倒壊と火災発生
(イ)津波による被害 家屋の浸水、倒壊
(ウ)液状化による被害 地盤の流動化、家屋の倒壊
(エ)ため池堤防の決壊による被害 下流家屋の倒壊(ため池直下)及び浸水
(オ)がけ崩れによる被害 家屋の倒壊、人命への被害(前山団地の南端部)
2)台風や線状降水帯の接近、通過による集中豪雨により次の被害が想定される。
(ア)河川氾濫・内水氾濫
(イ)がけ崩れ
3)避難経路図
(ア)南海トラフを震源とする L2 クラスの大規模地震・津波発生時
(イ)河川氾濫
私たちの三本松地区では最大規模の風水害や地震災害時には、以下に示す形態の複合災害となる可能性が高いと考えられる。これらの観点から特に留意すべき地区について、次ページ以降に判断した根拠とその位置を防災マップから抽出して表示する。
【大規模地震】
大規模地震発生⇒家屋損壊⇒急傾斜地崩壊⇒液状化発生⇒ため池決壊⇒津波来襲
【集中豪雨】
台風、線状降水帯の接近・通過⇒内水被害⇒河川洪水による家屋浸水倒壊⇒土砂災害による家屋倒壊と人命被害