【拍手】
司会: はい、ありがとうございます。では、続きまして、芦先生、よろしくお願いします。
清川先生: 芦先生は私の大学院の時の先輩でありまして、もともと大阪の人です。それで神戸大学から東大の海洋研究所に行って、私の直属の一番近いところの先輩ですね。
最近はジオカレッジでこっちに来て一緒に講師としてやっていただいているような人です。
専門は南海トラフ。南海トラフにダイビングとかいろいろ自分で機械を作って、それで南海トラフの地震を挟んでですね
こっちとこっちで何が変わっているかとか、そういうようなこともやっている方ですので面白い話が聞けると思いますのでお楽しみにということです。よろしくお願いします。
ありがとうございます。今日お集まりいただきましてどうもありがとうございます。
今日は南海トラフの地震の話ですが、最初に全般的な概略、それから海の観測の話を少ししまして、最後にマスコミ報道の話、最近結構ニュースになっています。その辺りの話をしたいと思います。
こちらの南海トラフですが、駿河湾から日向、足摺岬沖までずっとつながっている。トラフというのは船底という、へこみですね、それが連続しています。ここでプレートが沈み込んでいまして、拡大しますと
ここに何か階段状の地形が見えますが、これ全ては断層でできた崖が連なっています。
平面的に起こすと赤の線が全て活断層です。海底の活断層です。陸上で活断層があると、もう大ごとになりますが、南海トラフの底にはいっぱいあります。ここではフィリピン海プレートが沈み込んで、それで陸側が破壊されて断層がたくさん割れ目がいっぱいできているということになります。
地震ですがプレートが沈み込んで我々が住んでいる陸側の下に沈み込んできますが、そのときに、スルスルと、行ってくれたらいいんですけど、ちょっと突っかかってですね、このウサギがいるのが陸のほうですね。で、プレートがずーっと行く、カエルがずーっと進む。そうしますと、陸のほうが、だんだんだんだんこう歪んでくるんですね。やがてもう耐えきれなくなって外れる。それが地震です。その時にこのあたりが盛り上がる。
全体的にちょっと沖側に、このプレートのこのずーっと引き込まれているときは陸に行くんですが、ここで外れたとたんに海側に移動する
さきほど清川さんの話しにあった海底が盛り上がることで津波が発生することになります。
ここアニメーションで示していますがこういうのが繰り返しています。南海トラフですと100年か200年間。
どういうふうに起こるかというとずっと沈み込んでいって、最初耐えているんですけれどもやがてそこで破壊が起こって跳ね上がるというのを示したのが右のグラフでして、赤の水平の線がありますがそこまで頑張るんですがそれを越えるところで破壊して、ボンと跳ね上がるということを繰り返す。
その歪みが溜まってそれが解放されてドーンと落ちるんですが大きく解放されますと、次まで歪みがどんどん溜まっていく時間がちょっと伸びますのでこちらですねこの部分、ここをドーンと引き加えると次の地震がなかなか起こらないというような考えがあります。これは考え、モデルです。
こちらのアニメーションでグーッと押されていってドーンと跳ね上がるときに陸側の海沿いここはポンと上に上がります。それが下の方に示したと図でして地震の度にポンと上がる。
2メーター3メーター、ポンと次の地震まででずっと上がる。
そうしますと次の地震がいつ来るかというのが予想できるというのがこの図です。赤の星の印です。
で、実際に室戸岬ではこういう事が起こりました。
で、こちらの図で右の方の下ですけれど、この室戸岬の近くの室津港というところで、宝永と安政の時の地震がありまして、やはりポンと上がったんですね。そうすると港の水深が浅くなっちゃって、船が入れませんから掘るんですね。その時のどれくらいポンと上がったかというのを測った記録があります。そうしますと宝永と安政、それから昭和はもう既に測量できますから緑のは測っています。ここは綺麗に直線的だから次いつ起こるかというのが予想できる。
そこで地震の確率が30年以内に何パーセントかというようなのが新聞とかよく出ています。2013年に30年以内に70、80、それから去年ですね去年は20年以内にそれ以前は50から60。これが60に上がっていますもうお忘れになったかもしれませんが、去年の1月では結構、大騒ぎになって新聞各社はいつ起きても不思議ではないということが、報道されました。
このデータよく見ると、この緑で囲ったところですが橋本さんという方がよく調べると、江戸時代の測量というのはかなりいい加減で、測る尺度も違ったり、満干の話、それから海底が浅くなるから掘ったりしている、それがちゃんと見積もられていないんです。ですから、緑で丸書いてあるこの値が正しくないのではないという話が出てきました。
それから、宝永安政より前の方を見ていただいてこの辺り全然合わないんですよね。
これは本当に大丈夫なのかというのがこういう本に出てきました。
私も買いましたよ。なかなかちゃんとした内容の本です。この何パーセントというのは本当信頼できるのか、というのにかなり疑問が出ている状況です。結構売れている本で1500円くらいするんですけど結構高いので、図書館等で予約されたらいいと思います。うちの住んでいる所を調べると結構40件くらいの予約で、ちょっと半年くらいかかるかもしれません。
聴講者 : 「この本どこで買えるんですか」もうベストセラーですよ、この分野で今
さて、それで、こちらの南海トラフの地震これまで起こった地震が上に地図があって全体に破壊されているのとか、こちらは明らかだけど、ちょっとこちらはよくわからない。
いろいろありますが、これを見ますとですね100年200年間隔でずっと起こっているというのがわかります。ですので、南海トラフの地震が起こるのかと言われると絶対起こります、これは。台風が毎年来ているように。ただし、いつ来るかというのはなかなか難しい。このデータはですね、右に書いてますが古文書、日本は結構ですね、古文書、古くから残っています。それから、それより前は遺跡、あと津波の堆積ですね。海のものが陸に来るので穴を掘ってあげると、陸の植物の間に急に海のプラントの遺骸が入ってきますから、これで分かります。
それで、8月ですね、日向沖で地震が起こる。マグニチュード7です。これが起こって皆様もニュースで触れられて、米が買い占められたり旅行がキャンセルになったり海水浴場が閉鎖されたりというのがありました。この臨時情報ですけれど普段よりも揺れの可能性が高くという話があって、これから起こる地震で強い揺れや津波が来るかもしれないということです。
よくテレビのテロップに出るような、必ず発生するということをお知らせすることはありませんみたいな断り書きがちょろっと書いてあるんですよね。
こちらが出たのはですね地震がちょっと小から中規模ぐらいの地震が起こった後にそれよりも大きな地震が起こるケース、それが縦軸で、それでこちらが日数です、1週間、2週間、3週間、そうしますとですね、直後に100回ぐらい地震が起こったら1回ぐらいというようなケースで1週間ぐらいしますと急に下がる。こういうのがあるんですが、このデータはですね南海トラフのケースじゃないんです。もう世界中のいろんなデータ、あまり信頼性の高くないデータも含んでるんですね。これ自体があまり信頼性のないものを基準に、減っている7日ぐらい経っては解除しているんじゃないかということで8月8日地震が起こって7日目にこれが解除されるということになっています。これが日向の地震でした。
こちらの地図に戻っていただいて、これまで我々がよく調べているのは駿河湾から足摺岬沖まで。ここでは繰り返して巨大地震が起こっていると分かっていますが、日向沖はないですね。以前から日向沖は比較的小規模な地震がしょっちゅう起こっていて、巨大地震はあまり起こっていないんじゃないかという考えの研究者が多かったです。この外ですね
一つ前のこちらの図はですね。その中で起こった今回もこの四国沖ぐらいで起こってたら納得するんですがそれの外だということでした。ということで、この前地震学会があったんですが、そこでもほとんどの研究者は結構否定的。今回の臨時情報の質問という考えですけれども、わからない、我々地震ってたまにしか来ないので経験がないんですね。ひょっとしたら起こるかもしれないということで、安全をとって出されたということになります。
さて、海の方の話になります。これまで地震の繰り返しが分かっているこれは陸のデータです。
海でどう調べるかということです。
これは北海道の地震の時に地震があって地滑りが多く、発生しました。
これ海で起こるとどうなるかというと、
その先からですね、泥水がずっと海底を流れていきます。
こちら水槽の実験ですが、こういうふうに泥砂が混じった濁った水がですね、海底の底をずーっと流れていって、場合によっては1000キロぐらいこれが流れます。で、これがですね、やがて勢いなくすと、溜まるんです。
普段はあの、プランプトンとかが死んでしずしずと溜まっている泥なんですが、こいつは結構荒い砂が溜まるので右上に書いてあるように、それの年代を調べてあげれば何年前に地震が起こったかというのが推定できます。
我々はそれを海で試料を採ります。試料を採る海底の映像です、こちら上からドーンと落ちていきますが、これが鉄管ですね。鉄管に重りをつけたもの、これを落として試料を採ります。
取ったのが左の方で1メーターごとに切っていますこれが1メーター、2メーター、3メーターぐらいの試料を採っていて、こちら2メーターちょっとですね。ここ白く見えるのがX線CTですね、医療用と同じです。白く見えているのが砂で、黒っぽいのが泥、白く見えているのが地震とか洪水で出来たイベント層というもので我々は洪水は来ない、川の先にあるようなところじゃなくて洪水があってもこういうものが来ないところで採っているのでそれは地震、地震の地滑りでこれが流れて来たというところを研究しています。
その結果です。
室戸岬沖の星印とその沖合の丸。右側が横軸が年代ですが、これ、1950年から何年前かというグラフで千年、二千年、三千年、四千年ですね。縦軸が一つ起こって、その前までの期間。ですから、何年ごとでこういう現象があるのかというのを調べています。
いかがでしょうか、これ見て、南海地震は何年ごとにあったのかというと100年から300年、100年、200年、200年弱ぐらいが多いんですかね。海のデータで言えるのは、現状ここまでです。これを見ていただいて、これまでのよく起こっている期間というと、100年よりは長いということです。
南海地震、1946年ですと、まだ100年だいだい経っていない。ですから、もしすぐ来るとすると、まあ、この辺です。ここまでの最近のやつは結構短くなっているんですね。これよくわかりません。本当にだんだん短かくなっているかもしれない。あとですね、ちょっと結構すごい600年とかになっているんですが、こちらはですね、ちゃんと記録されていないかもしれません。3回あって2回分がちょっと見えていないとか、そうすると実は3回あったら3分の1で、200年ということです。
全部捉えられているかどうかは分からない。
最後に先ほど清川さんからも話がありました、津波ですね、こちらは安心してくださいと言うことがいえるかもしれません。今、四国沖から日向沖にかけて海底に津波の波高を観測する観測網が整備されまして、それがリアルタイムで陸にデータが送られます。
ということは沖合で変化があったらすぐデータが来ます。でも地震の揺れは結構すぐ来ますからその時に地震の揺れで災害が起こって逃げるのと、津波がどれくらいの規模が来るかというのが、先にわかりますから、津波に対応するのか、地震のその場の対応するのか、というのを判断できる、香川の方ではできます。高知はなかなか難しいです。
そして、これはこの間の地震学会で高橋さんからの発表ですが、この津波即時予想システムというのがあって、これ香川大学の先生も関わってますが、こういうのが研究が進んでいて、ホームページに行くといろいろデータが出ています。
この辺り、港にどれくらい津波が来るか、という話もありますので。
最後に、こちらが私の研究としてはこれまで陸上で推定されたこういうデータをもう少しですね古い時代にずっと遡って見るということを行っています。地震自体は海で起こってますからより時空間の精度の良いデータを得ようとしています。
発表は終わりですが、質問の時間をとって終わりにします。
ありがとうございました。